社会人基礎力という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。社会人基礎力とは、平成18年2月に経済産業省の産学有識者による委員会が「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」を定義づけしたもの。社会人基礎力は3つの能力と12の要素から成り立っており、企業が新入社員などに求めている力と言えるでしょう。文字通り社会人における基礎ということは分かりますが、具体的にどのような力のことを言うのかご存知でしょうか。就職活動中の学生はもちろん、副業や起業でビジネスを行なう人も、社会人として求められているスキルについておさらいしておきませんか?社会人基礎力とはどのような力なのか、3つのポイントに焦点をあてて、ご紹介いたします。
平成21年に経済産業省が実施した「大学生の社会人観の把握と社会人基礎力の認知度向上実証に関する調査」によると、ビジネスマナーや語学力、PCスキルなどがまだまだ足りないと感じている学生の認識に反し、企業側は現状で問題ない(これからで良い)と判断しています。しかし、粘り強さやチームワーク力、コミュニケーション力など他者と関わる力についての結果は異なり、学生は十分できていると認識しているにも関わらず、企業はまだまだ足りないと判断しています。このように企業と学生には大きな意識の差があるため、求められている力を知らずに就職活動などを行なう傾向にあるようです。自分が思い描いた結果が出ないというケースがあります。ビジネスにおいても、求められているスキルや知識を正しく認識していない場合、なかなか成功できないことが十分に考えられるでしょう。
仕事がデキる人は自分から進んで前に踏み出す力を持っている、とされています。任された仕事を積極的に取り組み、年齢やポストに関係なく周囲を巻き込むことができるため、質問や問題が解決しやすいのです。自分で目的を設定し、その目的に向かって行動する実行力を備えることができれば、失敗したとしても粘り強く仕事に取り組むことができるため、失敗する経験が成長のもととなります。また、与えられた仕事だけをこなすのではなく、何にでも興味を持ち周囲の方を巻き込みながら取り組むことで、実行力を養うことができます。
行動を起こせば疑問や困難が生じることがありますが、そんな場合は周囲の方が教えてくれるでしょう。多くの企業は、新卒や新入社員に完璧に仕事をこなすことを求めていません。まずは仕事に慣れ、失敗しても前に進み続ける人を求めているのです。
積極的に仕事に取り組むと、様々な問題や課題に遭遇し、悩みを抱えることもあるでしょう。そんな時はその問題や課題について、考え抜くことで状況を好転させることに努めます。今どのような状況なのかを正確に分析し、現状に対する課題の発見、課題を解決するためのプロセスを計画する必要があり、分析することによって、今までの概念にはなかった新しいものや価値を生み出すことにつながる可能性もあります。課題を発見できなければ解決方法を見出すこともできませんが、まず現状把握ができていなければ課題を発見することができないため、課題発見力や計画力はリンクしています。何にでも疑問を持ち、考える癖をつけることで考え抜く力が鍛えられ、上司などに頼る前に自分で解決することができるビジネスパーソンへと成長します。
社会に出ると学生の頃とは比べものにならない数の人と出会い、コミュニティが広がります。そんな時、自分の意見を分かりやすく表現でき、相手の意見を取り入れることで机上の勉強だけでは得ることができない知識などを得られるようになります。また、人と話す中で自分とは異なる意見を持つ人とも円滑に付き合いする必要がある場面にも遭遇するでしょう。社会人としてルールや人との約束を守るのは当たり前ですが、人の意見を取り入れ、様々な関係性を理解することで視野が広がり、たくさんの人々とともに目標に向けて協力できるようになります。仕事においてストレスはつきものですが、ストレスの原因となっているのかを考え、解決策や改善方法を相談するなどストレスのコントロールも必要です。ストレスに対応する力もチームで働く重要な力となります。
社会人基礎力とは、人と関わりながら考え、前向きに仕事に取り組む姿勢のことではないでしょうか。自分の仕事に取組む姿勢や周囲との関わり方に目を向けることで、自分の課題などに気付くこともあるでしょう。今回ご紹介した社会人基礎力は、就活生や新入社員を対象に発表されたものです。しかし、基本的な意識を再度養うことは、あなたのビジネスの成長を加速させるのに、大いに役立つでしょう。今一度、この社会人基礎力に目を向けて、副業や起業活動などに役立ててみてはいかがでしょうか。