もともと、シンキングツールと言えば、小学校など子供教育の場で使用されることが多く、考えやアイデアを図形にして描いた紙で子供たちに考えるということを教える教材でした。
しかし、事業戦略やマーケティングのプランニングに使用する企業も多く、優れた思考ツールとして世界中のビジネスマンに普及しています。子供教育のためのシンキングツールがなぜ今、ビジネスパーソンに着目されているのでしょうか。年齢を問わずさまざまなシーンで活用できる、無限の可能性を秘めたシンキングツールについてご紹介いたします。
シンキングツールとは、1960年代に英国の教育家であるトニー・ブザンによって開発されたもので、子供たちが覚えやすく思い出しやすいノートの記述法として考案されました。紙に図形が描かれているという点では現在も変わりませんが、一言でシンキングツールと言っても図形にもさまざまな種類があります。
子供たちの教育に使用されることが多いのはY字やペン図、イメージマップ、ピラミッドチャートなど。ビジネスではストラクチャー図、プロセス図、マトリクス図、連関図などが多く活用されています。シンキングツールを作成する際には、テーマを決めて図形に沿った情報を書き出し、その情報から必要なものを選択、選択したものについてさらに深く考えます。この作業を行うことで意見やアイデアを図形として組み立てることができ、頭の中の整理や、考えを正確に伝えられるようになります。シンキングツールを活用することによって、コミュニケーションが苦手な方でも本来の能力を発揮することが可能なのです。
シンキングツールは、自分の考えを文章として組み立てる必要がなく、短い言葉で表現した考えを図形に落とし込むだけで完成します。思考をイメージ通りに形にして、どんどん書き足すことでゲームのように楽しく作成することができます。
難しいことを書く必要はないため、書き出すことで次々に新しい考えが浮かぶのもメリットのひとつです。相手から見ても単純明快で分かりやすいため、その場にいる全員の理解の食い違いを防ぎ、一目見るだけで書かれている内容を共有することができます。
自分の考えを伝える会議やプレゼンなどはもちろん、ビジネスの展望についてどのようなステップや課題があるのかなどをシンキングツールに落とし込むことで、社員が一丸となって目標に向かえるため、すべて言葉で説明する場合に比べて簡略化することができます。また、選択する図形によって自分たちで新たなルールを決めることで、さらなるアイデアが生み出される力も秘めています。さまざまな要素がどのように繋がるかを「見える化」することで、大勢で問題の解決に取り組み、話し合うこともできるこのツールは今後もビジネスにおいてなくてはならないものとなっていくでしょう。
シンキングツールは考えを書き出すことで終わりではなく、書き出した後に自分が書いた考えについて考え始めることが必要です。情報を書き出し、その情報をもとにした課題やアイデアなどの考えを組み立てなければなりません。ただ単純に考えを書き出すことに比べて、より深く考えることで、課題や対処法など新しいことを考える必要があります。また、自身の考えをより明確にし、軸がぶれなくなるというメリットもあります。組み立て方は図形の使い方によって様々ですが、無駄なく情報の整理ができるため、誰が見ても要点や手順が分かりやすく、シンキングツールによっては言葉での説明が不必要な場合もあります。そのため、理解の相違が生まれにくく、説明や無駄な手順を省略かのうになります。効率の良い仕事を意識している方や、さまざまな社員の考えをまとめたい、という方はぜひ使うべきツールと言えるでしょう。
仕事をする中で漠然と思いつくアイデアや課題は多く、人に伝えるのは時間や労力がかかるため面倒だと感じている方もいるでしょう。シンキングツールの活用で、日常的に感じている面倒や問題が解決するかもしれません。さらに様々な図形の特徴を駆使し、自分なりのルールを作成することで仕事の効率化を図る新しい活用方法を編み出すというのも良いでしょう。